洋蘭

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(※ 栽培データ:大阪市基準)

このジャンルについて

  1. ここにあるのは、主に、ラン科植物のうち、亜熱帯〜熱帯地域原産のものである。耐寒性のあるラン(東洋ラン・野生ラン)は、「山野草など」の一覧に入れた。
  2. 一口に「洋ラン」といっても、数mにもなる大型種〜高さ数cmの小型種までいろいろあるが、おおむね、草丈10〜30cm程度の種類が育てやすい。ギフトに使われるような、大輪咲きのカトレアやファレノプシス、花茎が1m以上にもなるシンビジウムなどは、加温設備なしでは少々育てにくい。なお、花が虫眼鏡でなければ見えないような、極端に小型の種類も、直射日光や水切れに弱いので、枯らす危険が高くなる。
  3. 園芸的に栽培されるラン科植物は、形態によって、下記の二つに分けられる。
  4. ほとんどの洋ランは、寒さに弱いので、できる限り、冬の最低温度を高く保たないと、花付きが悪くなったり、開花が1年おきになったりしがち。ひどいと、年々株が弱り、やがて枯死する。たとえ暖地であっても、戸外で越冬できる洋ランは、ほとんどない。事前に、手持ちのランの性質をよく知っておき、最適な温度を保って越冬させたい。
  5. 「洋ランは温室がなければ育てられない」と思っている人が多いが、必ずしもそうではない。よく見かけるシンビジウムやデンドロビウムなどは、最低5℃ほどあれば、越冬できる。これ以外にも、日本に自生するフウランの血を引く交配種など、耐寒性に優れる種類はたくさんある。
  6. マンションのように、機密性の高い住宅なら、真冬でも室内が暖かいので、意外と、いろんな洋ランが育つものである。室温が最低10℃もあれば、ほとんどの洋ランを育てられると思ってよい。室温が保てなければ、夜間のみ、株を発泡スチロール箱に入れて保護したり、ホットカーペットの上に置くなどすれば済む。高価な温室を設置する必要は全くない。そのあたりの工夫については、別ページの「冬越し」に詳しく述べた。
  7. 基本的に、越冬中は休眠するため、生育が停止するが、最低温度が18℃以上保てる場合は、緩やかながら生育が続くので、越冬中も、二週間に一度くらい、2,000倍以上に薄めた液肥を、水やり代わりに施すとよい。
  8. 冬、ギフト仕様の洋ランを頂いたら、よく日光が当たり、夜でも暖かい室内に飾る。一度置き場所を決めたら、あまり移動させないほうがよい。(植物も、環境が急に変わるとストレスを感じる。)
  9. つぼみを落とさずに咲かせるには、日中の室温20〜25℃、夜間の室温10〜15℃、湿度60〜80%を保つのが理想である。なお、温度湿度があっても、日光が当たらない暗い場所では、花色が薄くなるので注意。
  10. 暖房器具の温風は、乾燥している上に高温なので、直接株に当ててはいけない。もし当てると、花やつぼみがしおれ、ひどいと、株全体が脱水症状を起こして枯れることがある。
  11. 空中湿度を保つには、株への霧吹きが一応有効だが、夜には完全に乾くようにしないと、花に「灰色かび病」が発生し、見苦しくなることがある。加湿器を使うのも、よい方法である。
  12. 越冬中に花芽を伸ばしている株の管理法は、花色によって異なる。 いずれも、極端な高温や低温、乾燥にあうと、すぐにつぼみが黄ばんで落ちてしまう。
  13. 洋ランは、葉や花が、日光の当たる方向を向いて固定する傾向が強いので、普通の鉢花のように、鉢回しを繰り返したりすると、株姿が乱れたり、花があちこちの方向を向いて咲いてしまったりする。
  14. 越冬中、生育に十分な温度が保てない場合、水やりは、ごく控えめにしなければならない。目安としては、だいたい7〜10日に一度、寒さに弱い種類なら、月に一度でも何とかなる。最低温度が5℃を切る場合は、耐寒性のある種類を除き、ほぼ断水とする。
  15. ただし、花茎が旺盛に伸長していたり、つぼみがふくらんでいる最中は、極端な水切れをさせないよう注意する。水切れすると、花茎が伸びなくなったり、つぼみが落ちたりする。
  16. 越冬中の水やりは、葉水(茎葉への霧吹き)に重点を置き、ほぼ毎日、午前中に与える。
  17. 冬の間に、株に対して与える水は、汲み置きの温水か、ぬるま湯(25〜30℃)を使う。冷たい水を与えると、根が冷えて傷む。
  18. いつまでも花を咲かせておくと、株が弱ってくるので、十分に開花したと思ったら、早々に切り花にするとよい。
  19. 春になれば、室内で越冬していた株を戸外に出せるが、4月いっぱいは、遅霜に注意が必要である。日中のみ戸外に出し、夜は暖かい室内に取り込むとよい。室内への取り込みを忘れると、悲惨な結果を招く。
  20. ランの仲間は、直射日光を苦手とする種類が多いので、寒冷紗や遮光ネット、不織布などを張って遮光する。このとき、遮光率を低めに抑え、葉がかすかに黄色を帯びるくらいの、やや強めの日光に当てて育てたほうが、花付きがよい。しかし、光量の加減に、経験と慣れが必要で、失敗すると、ひどい葉焼けを起こさせるので、無理はしない。
  21. 一年で一番、葉焼けの危険が大きいのは、春、室内の株を戸外に出した時であろう。室内で越冬していた株は、弱い日光になじんでいるので、いきなり戸外の強い日光に当てられると対応できず、一気に葉焼けしてしまう。春の日光は、思いのほか強いので、最初は、曇天の日を選ぶか、一日数分〜数十分の日光浴から開始し、徐々に慣らす。
  22. 洋ランは、そよ風に吹かれるのを好むので、株の周囲に、よどんだ空気が停滞するような、風通しの悪い場所に置いてはいけない。かといって、乾いた強風が吹き付けるような場所もだめ。できれば、湿り気を含んだ風が、時折吹くような環境がよい。
  23. 洋ランに限った話ではないが、生育期間中の水やりは、植え込み材料(土)の表面が乾いてから与えるようにする。ランの根は、着生種・地生種に関わらず、通気性のよさを好むので、水やりが多いと、すぐに根腐れしてしまう。
  24. 洋ランの仲間は、肥料を好みそうに思えるが、そうでもない。定期的に植え替えを行っていれば、無肥料でも育つ。(もちろん例外あり。)あえて肥料を与えるのは、安定的な生育と開花を促すためである。常に、少なめの施肥を心がける。
  25. 与える肥料は、洋ラン専用のものを使うと手軽である。普通の草花用の肥料では、葉だけがよく茂り、全く開花しないことがある。(いわゆる「ハバカリ」(「葉ばかり」と「憚り」をかけた言葉)。)なお、新芽や新根のすぐ近くに肥料を置くと、肥料負けを起こし、芽や根が枯れ込むことがあるので、少し離して置く。
  26. 施肥の開始時期は、新芽や新根が伸び始めた頃が最適。株が生長し、花芽が見え始めたら、施肥を中止する。開花中は、原則として施肥を行わない。
  27. 盛夏以降は、窒素を多く含む肥料は与えないほうがよい。リン酸とカリを主体に施すと、秋以降の開花が促進される。
  28. 植え替えの時期も、やはり、新芽や新根が伸び始めた頃が最適期である。多くの場合、4〜6月頃となる。よく、鉢内に根が張り付き、抜けないことがあるが、無理に引っ張らずに、思い切って鉢を割るとよい。
  29. 複茎性のランは、多くのバルブが、短いほふく茎でつながっているが、植え替え時に、このほふく茎を埋めてしまわないよう注意する。ほふく茎が埋まるような深植えにすると、ほふく茎が腐り、株全体が枯れることがある。
  30. 洋ランの植え込み材料は、水ゴケが最も一般的で、かつ、優れているが、日向土、軽石、砂利、パーライト、バーク、ヘゴチップ、ヤシガラチップ、発泡スチロール片なども使える。しかし、水ゴケ以外の植え込み材料は、単体で使うと、保水性や保肥性に問題があるため、数種類を混合して用いたほうがよい。(水やりや施肥を適切に行う自信があるなら、単体でも使える。)市販の「洋ラン専用土」は、軽石・バーク・ヤシガラチップなどがあらかじめ混合されており、そのまま使えるので楽。
  31. エリデスやバンダ、リンコスティリスなど、根が常に空気に触れていなければならない洋ランは、水ゴケや洋ラン専用土で植えると、根腐れを誘発するので、裸のまま鉢に入れ、割れた鉢の破片や発泡スチロール片などで固定するとよい。専用のチーク材バスケットが市販されているので、これに植えて吊るしておくのも、よい方法である。
  32. 乾燥した水ゴケは水を吸いにくいため、新しい水ゴケを使うときは、前日のうちにたっぷりと水をかけてビニールなどで覆いをし、時間をかけて戻す。(戻す水ゴケの量にもよるが、1〜2時間以上かかる。)使用前に水ゴケを絞ると繊維が傷み、腐りが早くなるので注意する。
  33. 水ゴケは、いろんな値段のものが売られているが、よい水ゴケは、色が白っぽく、繊維が長い。安物を買うと、ゴミが混じっており、質も悪いので、早く腐る。一方、高級品は質がよく、腐るのも遅いので、植え替えの間隔も長くて済む。何より、植えられている株の、生育の度合いが全く違ってくる。最初から高級品を買ったほうが、かえって経済的といえる。
  34. 植え込み材料は、一度決めたら、なるべく変更しない。新たに入手した株を、初めて植え替える際も、元の植え込み材料と同じものを使って植える。どうしても、別の植え込み材料に変えたければ、古い植え込み材料を全て取り除いてから植え付けるが、1年ほど生育不良になるのを覚悟する。
  35. 植える鉢は、植え込み材料が水ゴケなら素焼き鉢を、洋ラン専用土なら、プラスチック鉢、駄温鉢、化粧鉢などを使うとよい。なお、水ゴケは2〜3年で腐り始めるので、それまでに植え替えをする。洋ラン専用土なら、4〜5年くらいもつ。
  36. 植える鉢の大きさは、根がやっと収まるくらいの、ごく小さめのものを使う。大きな鉢を使うと、鉢内が過湿になりやすく、必ずといっていいほど根腐れを起こす。「大は小を兼ねる」ことはありえない。
  37. 植え替え時は、新芽や新根を傷付けないよう注意する。とはいえ、根が多少、折れたり切れたりするのはやむを得ない。大切なのは、根の付け根を折らないことである。根の途中が折れても、折れた部分のすぐ近くから新根が発生するので、大した問題にならないが、付け根が折れると大ダメージとなる。
  38. 植え替えの際、腐った根があれば、取れる範囲で取り除く。ただ、ほとんど全ての根が腐ってしまった株の場合は、腐った根をきれいに整理すると株がグラグラするので、数本残しておく。このとき、腐った外皮(ベラーメン層)を取り除き、中の繊維(本来の根)だけを残すとよい。
  39. 植え替え後、最低1週間は水やりをせず、養生させ、新根の生長を待つ。この間、霧吹きで葉水を与え続けるとよい。施肥については、1ヵ月くらい経ってからにしたほうが無難。
  40. 生育中に根腐れを起こし、株がしおれてきたら、適期でなくてもすぐに植え替える。ただし、10月下旬以降の植え替えは、最低18℃以上を保てる環境がない限り、行うべきではない。温度が保てない場合は、暖かい場所に置いて水やりを控えめにし、何とか株を生かしながら、春になるのを待つ。
  41. 着生種の洋ランは、コルクやヘゴ板などに着生させて育てると、植え替えの必要がなくなり、根腐れも起こらないので、管理が楽になる。エリデスやバンダ、リンコスティリスなど、根が空気に触れるのを好む種類によい。また、イオノプシスのように、鉢植えにすると生育が思わしくない洋ランにも最適。
  42. ただし、非常に乾燥しやすいで、水やりは、鉢植えの株よりも頻繁に行わなければならない。肥料については、小袋に入れて株の上に吊しておけば、水やりの度に肥料成分が流れ出し、吸収される。
  43. 鉢植えの株を着生させたい場合は、鉢から抜いて、コルクやヘゴ板の上に、根を広げて置き、その上に水ゴケを少しかぶせて、糸で巻いて固定する。早ければ半年くらいで張り付く。
  44. 花が終わった後、花がらを放置していると、結実することがある。タネが完熟すると、果実が茶色っぽくなり、はじけて、ホコリのようなタネを大量にまき散らす。ラン科植物は、タネの発芽〜生育に、「ラン菌」と呼ばれるカビの助けを必要とするため、一般家庭では、タネまきが難しい。ただ、タネを採ってすぐ、親株や、他のラン科植物の根元にまいておくと、半年〜二年後に発芽することがある。
  45. ギフト仕様の寄せ植えは、春になったら、一株ずつに分け、小さな鉢に植え替える。寄せ植えのランは、根の量に対し、植え込み材料が多すぎるので、そのままではやがて過湿になり、根腐れを起こして枯れてしまう。
  46. 一度使った植え込み材料や鉢は、ランの大敵である「ウイルス病」が伝染する心配があるので、再利用しないほうがよい。ハサミなどの用具は、必ず一株ごとに消毒してから使う。詳しくは、「植物の病気」ページにある、「ウイルス・その他による病気」を参照。
  47. 洋ランに感染するのは、主にCymMV(シンビジウムモザイクウイルス)だが、ORSV(オドントグロッサムリングスポットウイルス)も多く、後者のほうが激しい症状が出る。両者はしばしば重複感染する。この二種類のウイルスは、病原性が強いにも関わらず、感染経路が汁液伝染・接触伝染に限られており、種子伝染・虫媒伝染しない。
  48. ランの花はエディブルフラワー(食用花)になるが、苦味があり、あまりおいしいものではない。しかし、料理の彩りとしては適する。

洋ランのラベルについて

  1. ランは、原種・交配種を問わず、全てに名前が付けられており、イギリスの王立園芸協会(RHS)に登録されている。
  2. ラベルは、その株の名前や受賞記録、交配の系統などを明らかにするためにあり、いわば、ランの血統書・身分証明書である。これが無い株は「ラベル落ち」「札落ち」などと呼ばれ、価値の無いものとされる。
  3. ラベル落ちの株は、値段が安いので、細かいことにこだわらなければ狙い目である。なお、ギフト仕様のランは、最初からラベルの付いていないものが結構多い。(特にファレノプシス。)
  4. ラベルの書式には、以下のような決まりがある。全て、アルファベットで書くことになっている。
    1. 最初に、属名をイタリック体で書くが、必ず大文字で書き始める。属名の略号がある場合は、それを書き、最後にピリオドを付ける。なお、属間交配種(人工属)は、自然界に存在しないので、属名の前に、「x」という記号を付けることがある。
    2. 属名の次に、種名(原種では「種小名」、交配種では「交配種名」「登録種名」という)を書く。原種は小文字のイタリック体で書くが、交配種は大文字で書き始め、イタリック体は使わない。なお、種小名の記載がなく、代わりに「sp.」と書かれていれば、「種名不詳」の意。
    3. 原種の場合、種小名の後に、「ssp.」「var.(またはv.)」「forma.(またはf.)」などと書かれていることがあるが、これは、それぞれ「亜種」「変種」「品種」を意味する。
    4. 種小名の次には、個体名がくる。個体名は、その株固有の名前であり、優れた変種に対して付けられる。これも大文字で書き始め、「'」(シングルクォーテーション)でくくる。
    5. 最後に、その株に入賞歴がある場合は、その旨を記す。「賞の略号/審査団体の略号」という形式で書かれる。入賞歴がなければ、この記載はない。
    6. 時折、ラベルのどこかに、「x sib」「x self」「4n」「MC」「OG」などと書かれていることがある。これらの意味は、下記の通り。
      • x sib … 他家受精で生まれた実生苗。親同士が遺伝的に異なるため、さまざまな形質が現れる。
      • x self … 自家受精で生まれた実生苗。または、「遺伝的に同一の親」同士から生まれた実生苗。(妙な感じがするが、洋蘭は、遺伝的に同一のクローンが何株も存在する。)
      • 4n … 四倍体の株。基本種と比べて染色体が倍加し、株や花が大型化している。
      • MC … メリクロン苗。組織培養によって生まれた、親株の完全なクローン。まれに「メリクロン変異」を起こし、親株と異なる形質が現れる。
      • OG … オリジナル株。「分け株」ともいう。株分けによって得られた苗なので、クローンではない親株そのもの。
    7. 交配種の場合、まだRHSに登録されていない新しい株には名前がないので、「母親(種子親)の名前 x 父親(花粉親)の名前」という書き方をする。
  5. 主な属名の略号は、以下の通り。特に注意書きの無いものは原種。
  6. 主な審査団体の略号は、以下の通り。
  7. 主な賞の略号は、以下の通り。

植物名


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