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(※ 栽培データ:大阪市基準)
このジャンルについて
- ここにあるのは、肉厚の茎葉を持ち、その中に水分を蓄えており、乾燥に耐えられる植物である。(私の独断と偏見で分類。)
- しかし、茎葉が多肉質な植物なら全て多肉植物なのかというと、そうでもないようである。例えば、カトレアはかなり肉厚な、硬い葉を持つが、これは「洋蘭」であって、多肉植物として扱うことはない。また、カンナは、肥大した太い地下茎を持つが、これは「球根植物」であり、多肉植物ではない。多肉植物とそれ以外の植物の線引きは、結構あやふやなところがある。
- 多肉植物と呼ばれる植物は、基本的に、極端な乾燥や強烈な日光に晒される場所に生えるものが多く、過酷な環境に適応するために、体内に貯水組織を発達させているのが特徴である。植物分類学上、特定の科の植物を指すのではなく、キョウチクトウ科、スベリヒユ科、ツルボラン科(アロエ科)、トウダイグサ科、ハマミズナ科、ベンケイソウ科など、50以上の科にまたがっている。
- 多肉植物は、サボテンのイメージで、暑い砂漠に生えるものと思われがちだが、実際は、北極圏・南極圏を除く、ほぼ世界中に分布しており、日本にもある。
- 多肉植物の筆頭がサボテンである。サボテンは全て「サボテン科」に属するが、この科は、非常に多くの種類を有し、原種だけでも3,000種前後、園芸品種まで含めると5,000種にも達するといわれる。そのため、園芸上は、他の多肉植物から切り離して扱うのが普通である。(「サボテン・多肉植物」のように、分けて表記されることが多い。)
- サボテンの最大の特徴は、トゲが生える「刺座(アレオーレ)」の存在である。刺座には、クッション状の毛が生えており、トゲだけでなく、花芽や子株も、ここから発生する。バラやユズなど、トゲを持つ植物はいろいろあるが、刺座を持つ植物は、サボテン以外には存在しない。
- サボテン・多肉植物は、茎葉に水分を蓄えるため、植わっている土の水分が過剰になると、根元から腐りやすい。できる限り水はけのよい土に植え、水やりを少なめにして育てるのが基本中の基本。また、風通しのよい場所で育てることも大切である。
- 多肉植物は、生育の仕方によって、春〜秋に生育し、冬に休眠する「夏型種(夏生育型種)」、秋〜春に生育し、夏に休眠する「冬型種(冬生育型種)」、春と秋に生育し、夏と冬に休眠する「春秋型種」、の三系統に分かれる。聞き慣れない言葉だが、球根植物に、春〜秋に生育し、冬に休眠する「春植え球根」と、秋〜春に生育し、夏に休眠する「秋植え(夏植え)球根」があるのと同じことである。なお、サボテンは多くの種類が夏型種に属する。
- 夏型種 … アダンソニア、アデニウム、アガベ(「笹の雪」「No.1」など)、アデニア、アナカンプセロス(「春夢殿」「吹雪の松」など)、アプテニア、アロエ(「医者いらず」「鬼切丸」など)、アローディア、イドリア、イベルビレア、イポメア、ウェルウィッチア、ウンカリーナ、エキドノプシス、エケベリア(「錦晃星」「高砂の翁」など)、エディトコレア、オスクラリア、カランコエ(「錦蝶」「月兎耳」「唐印」など)、カラルマ、カリバナス、キフォステンマ、クセロシキオス、クラッスラ(「花月」「神刀」「火祭」「若緑」など)、グラプトペタルム、ケラリア、ゲラルダンサス、コチレドン、コレウス、サンスベリア、ジゴシキオス、シッサス、シナデニウム、シノクラッスラ、スタペリア、スタペリアンサス、セダム(「玉つづり」「虹の玉」など)、セネシオ(「七宝樹」「緑の鈴」など)、セロペギア、タキトゥス、タバレシア、タリヌム、ディスキディア、ディッキア、ディディエレア、デカリア、デュバリア、トラデスカンティア、ドルステニア、ドロサンセマム、ネオアルソミトラ、ノリナ、ハエマンサス(「線香花火」など)、パキフィツム、パキポディウム(「亜阿相界」「恵比寿笑い」など)、ピレア、フィッカス、フィランサス、フェルニア、フォッケア、プセウドリトス、プテロディスクス、ブラッキステルマ、ブルセラ、プルメリア、プレクトランサス、ペディランサス、ボウィエア、ポーチュラカリア、ホーディア、ホヤ、ボンバックス、モナデニウム、モリンガ、ヤトロファ、ユーフォルビア(「紅彩閣」「花キリン」など)、ユッカ、ランプランサス、レクステイネリア、ロンボフィルムなど。
- 冬型種 … アストリディア、アストロロバ、アドロミスクス、アナカンプセロス(アルストニー、パピラセアなど)、アルギロデルマ、アルブカ、アロイノプシス、イミタリア、エキヌス、エリオスペルマム、オドントフォルス、オトンナ、オフタルモフィルム、ガステリア、カディア、カランコエ(「白銀の舞」など)、ギバエウム、キリンドロフィルム、クラッスラ(「月光」「星の王子」「都星」「緑塔」など)、グロッチフィルム、ケイリドプシス、ケファロフィルム、ケンシチア、コノフィツム、サルコカウロン、シュワンテシア、ストマチウム、スパルマンサス、セファロフィルム、セムナンテ、ダクチロプシス、ダドレア、チタノプシス、チレコドン、ディオスコレア、ディディオマオツス、ディプロソマ、ディンテランサス、デロスペルマ、ドーベニア、トリコディアデマ、ナナンサス、ハエマンサス(「眉刷毛オモト」など)、ハオルチア、バンヒルディア、ブーファン、フォーカリア、プサモフォラ、ブルビネ、ブルンスビギア、プレイオスピロス、ペラルゴニウム、ベリスフォルディア、ベルゲランサス、ベルセミア、ヘレアンサス、マカイロフィルム、マッソニア、マレフォラ、ミトロフィルム、ムイリア、メストクレマ、モナンテス、モニラリア、ユーフォルビア(「羊玉」など)、ラピダリア、リトープスなど。
- 春秋型種(低温夏型種・高温冬型種) … アエオニウム、アガベ(「青磁炉」など)、アロエ(コルトリリオイデス、ハエマンティフォリア、パルブラ、ポリフィラ、ラエタなど)、エケベリア(ラウイー、ルンデリーなど)、オロスタキス、クラッスラ(「紀の川」「月光」「稚児姿」など)、セダム(ヒントニーなど)、セネシオ(「銀月」「新月」「清涼刀」など)、センペルビブム、ディオポゴン、トリコカウロン、パキポディウム(「光堂」など)、フェネストラリア、フォークイエリア、フリティア、ペペロミア、ユッタディンテリアなど。
- 「春秋型種」は、耐暑性のない夏型種(低温夏型種)と、耐寒性のない冬型種(高温冬型種)の総称であるらしい。要するに、穏やかな気候の時だけ生育する種類であり、実際の扱いは冬型種に準じる。(ただし、冬季は保護や加温が必要。)なお、この生育型の植物は、とかく暑さ寒さを嫌い、栽培にコツがいるものが多い。特に栽培の難しいものは、「難物」と呼ばれる。
- 「夏型種」だからといって、耐暑性が強いとは限らず、また、「冬型種」だからといって、耐寒性が強いとは限らない。例えば、夏型種のセネシオは、やや暑さに弱い。また、春秋型種として扱うセンペルビブムは、冬に休眠するが、寒さにきわめて強い。
- ハマミズナ科に属する、「メセン(女仙)」と呼ばれる一群は、多肉植物の中でも、別格の地位を占める。(そのため、科名を「メセン科」とすることもある。)大きく分けて、姿形を楽しむ「玉型メセン」と、美しい花を楽しむ「花物メセン」があるが、単に「メセン」というと、前者だけを指すようである。最近は、玉型メセンの開花株が安く売られているが、これは典型的な冬型種で、夏越しが難しい種類もあるので、あまり初心者向きではない。なお、花物メセンは、マツバギクの仲間や、リビングストンデージーなどが代表種である。
- サボテン・多肉植物は、かなり多くの種類に和名が付けられており、学名よりも、和名で呼ばれることのほうが圧倒的に多い。例えば、サボテンの「エキノカクタス・グルソニー」という学名を聞いても、よく分からないが、「金鯱」という和名を聞けば、植物園の温室によく植えられている、金色の巨大な球サボテンを連想しやすい。また同様に、「クラッスラ・ポーチュラセア」という学名から、「金の成る木(=花月)」を連想できる人は少ないと思われる。(もちろん、人によるが。)
- 植える土は、市販の「サボテン多肉植物の土」で足りるが、自分で作る場合は、川砂(または山砂)3に対し、赤玉土小粒3、腐葉土3、軽石1の混合などとする。鹿沼土や軽石、焼き赤玉土、もみ殻くん炭なども使える。
- なお、森林性の着生サボテン(イースターカクタス、カニバサボテン、クジャクサボテン、月下美人、シャコバサボテン、リプサリスなど)は、根が空気に触れることを特に好むので、専用の「シャコバサボテンの土」を購入して使う。自分で土を配合する場合は、砂を使わず、やや粘土質な土にする。赤玉土小粒4に対し、腐葉土3、軽石またはパーライト3などでよい。根腐れ防止用に、珪酸塩白土を一割ほど混ぜるとなおよい。
- 植える鉢にはこだわらないが、あまり地中深くまで根を伸ばさない種類が多いので、深すぎる鉢に植えるのはやめたほうがよい。
- 多肉植物の中には、秋になると葉が紅葉する種類がある。だいたい、最低気温が10℃前後になると、紅葉が始まるようである。モミジなどの紅葉とは違い、紅葉したからといって、その後に葉が落ちてしまうようなことはない。暖かくなると、元の葉色に戻る。美しい紅葉を見るには、生育期間中は適度な日光に当て、紅葉が始まる頃に肥料が切れるようにしておくことが大切。また、水やりも、秋が近づくにつれて控えめにする。
- 日光を好む種類が多いので、生育期間中はよく日に当てる。真夏は、とかく日焼けしやすいので、遮光したほうが無難。秋に紅葉する種類は、春以降の日光が不足すると、きれいに色付かない。
- 他の園芸植物よりも日光不足に対して敏感なので注意が必要である。少しでも日光が不足すると、間延びしてしまい、よい姿にならない。なお、ガステリアやハオルチアのように、そもそも強い日光を嫌う種類は別。
- 水やりの頻度は、普通の植物より少なめにするのが大原則である。普通の植物は、生育期間中、植わっている土の表面が乾いたら水を与えるが、サボテン・多肉植物の場合は、さらに1〜3日ほど待ち、鉢底まで乾いた頃を見計らって水やりをする。
- 基本的に、冬型種は真夏、夏型種は真冬、春秋型種は真夏と真冬に生育が停止するので、水をほとんど与えずにおく。(月に一〜二回か、完全断水が目安。)生育休止期間中に水やりが多いと、腐敗の原因になる。
- 肥料は、あまり多くを必要としない。生育期間の初期に緩効性肥料を置き肥するか、植え替え時に元肥を入れておけば、大概の種類は足りる。ただし、生長が特に早い種類に対しては、薄めの液肥を追肥したほうがよい。なお、秋に紅葉する種類は、肥料が多すぎると、汚い紅葉になるので注意。
- 植え替えは、サボテンならほぼ毎年、その他の多肉植物でも、2年に一度は行うべきである。特に、3号以下の小鉢に植えているものは、必ず毎年植え替える。サボテンは特に植え替えを好むため、生育のよい若苗なら、年に二回植え替えてもよい。
- 植え替えは、生育期間の開始期(夏型種は3〜5月、冬型種は9〜10月、春秋型種は3〜5月か9〜10月)に行うのが原則だが、根元から腐り始めているなど、緊急を要する場合は、季節を問わず、即座に植え替える。
- 普通の植物は、植え替え後、すぐに水やりをして、土と根を落ち着かせるが、サボテン・多肉植物の場合は、傷口から腐りやすいため、作業後3〜5日ほど経ってから水やりを再開する。なお、植え替えや株分けなどで、株に大きな傷を付けた場合は、すぐに土に植えず、3〜7日ほど裸のまま置き、傷口をしっかり乾かしてから植える。そうしないと、傷口から病気が発生し、株全体が腐ってしまうことがある。
- 多くの多肉植物は、株分けや挿し木、葉挿しなどで、容易に殖やすことができる。カランコエやエケベリア、ガステリア、セダム、ハオルチア、パキフィツムなどには、たった一枚の葉からでも芽と根を出す、非常に生命力の強い種類が存在する。
- 種類によって、耐寒性・耐暑性に大きな差があるが、一般的に出回っているものは、比較的丈夫である。冬は最低5℃を目安にし、あまり高い温度にあわせないほうがよい。(アデニウムやパキポディウム、ペディランサス、ポーチュラカ、ヤトロファなど、特に寒さに弱い種類は除く。)
- 赤ダニやカイガラムシ、根ジラミの被害を特に受けやすい傾向があるので注意。
- 最近は、多肉植物の寄せ植えが流行っているが、上記のように、種類によって生育期が違うことを踏まえ、同じ特性を持つものだけを寄せるようにしたい。
植物名